拡張機能研究所

おすすめのブラウザ拡張機能をマンガ形式で紹介!

心を込めて描いたマンガが、日本語だけのままなんて…もったいない!

「世界中のファンにも見てほしい!」
ワクワクした気持ちで翻訳ツールを探したことありますか?

けれど…💧

  • 有料サービスは毎月お金がかかる
  • 無料ツールは使ってみたら吹き出しから文字がはみ出してガッカリ...

そんな思いで公開を諦めていませんか?

もう大丈夫
あなたの想い、叶えましょう

「manga-image-translator」が
あなたの作品を世界の読者に届けます✨

manga-image-translatorって何?

マンガ画像の翻訳に特化した
オープンソースツールです

画像からテキストを検出し
翻訳、入れ替えまで
一括で処理できます

manga-image-translatorって何?

メリット

  • 完全無料:商用利用も可能
  • カスタマイズ自由:翻訳エンジンや文字検出精度、フォントを細かく調整可能
  • ローカル処理:画像データが外部に流出しない
  • 多言語対応:日本語、英語、中国語など20言語以上

注意点

  • 環境構築が必要:Pythonのプログラミング環境を準備
  • 推奨スペック:画像処理を行うため、ある程度の性能があるPCでの利用が快適(GPUがなくても動作します)

こんな人におすすめ:

  • 既存の翻訳ツールでは物足りない方
  • 細かい設定を自分で調整したい方
  • 無料で高品質な翻訳を実現したい方

実際に翻訳するとこうなる

日本語

プレビュー

英語

プレビュー

日本語で描いたマンガが
こんな風に英語版に仕上がります

吹き出しのテキストも自然な英語に翻訳

※フォントが若干小さいのは
私が設定で意図して変えていたりします

完璧とは言えませんが、
手作業より圧倒的に効率的
設定を済ませたら、
あとは全自動で処理完了です

まずは動かしてみよう

manga-image-translatorって何?

環境

  • Python:バージョン3.10以上
  • GPU推奨:なくても動きます。私はGPUなしです。
  • OS:Windows 11

インストール手順

Python、manga-image-translatorを順に説明します

1. Python 3.10のインストール

  1. Python公式サイトからPython 3.10(またはそれ以降のバージョン)のインストーラーをダウンロードします。
    ダウンロードページ: https://www.python.org/downloads/release/python-3100/
    ダウンロードページ
  2. インストーラーを実行します。
  3. Windowsの場合、必ず「Add Python to PATH」のチェックボックスにチェックを入れてください。
    ダウンロードページ

インストール後、コマンドプロンプトやターミナルでバージョンを確認し、Python 3.10.xと表示されれば成功です。

$ python --version
Python 3.10.6 # 例

2. manga-image-translator

GitHubからクローンします。
※事前にgitのインストールが必要です
ダウンロードページ: https://gitforwindows.org/

# リポジトリをクローン
git clone https://github.com/zyddnys/manga-image-translator.git

# ダウンロードしたフォルダに移動
$ cd manga-image-translator

3. 仮想環境(venv)の作成と有効化(推奨)

この手順は必須ではありませんが、プロジェクトごとに独立した環境を作ることで、他のPythonプロジェクトとの依存関係の衝突を防ぐために強く推奨します。

  1. 仮想環境の作成: venvという名前で仮想環境を作成します。

    $ python -m venv venv
    
  2. 仮想環境の有効化:

    • Windows (PowerShellの場合):
      $ .\venv\Scripts\Activate.ps1
      
    • Windows (コマンドプロンプトの場合):
      $ .\venv\Scripts\activate.bat
      

    コマンドラインの先頭に (venv)と表示されれば成功です。

4. 依存ライブラリのインストール

仮想環境を有効化したら、必要なライブラリを一括でインストールします。

# 必要な依存関係をインストール
$ pip install -r requirements.txt

$ Windowsユーザーへの注意: 一部の依存関係のコンパイルに「Microsoft C++ Build Tools」が必要です。
pip installでエラーが出た場合は、先にこのツールをインストールしてください。

基本的な実行コマンド

インストールは完了です!
次にコマンドで動作確認してみましょう。

# inputが入力フォルダ。destが出力フォルダ
python -m manga_translator local  --input "input"  --dest "output"
  • inputフォルダに翻訳したい画像を入れる
  • outputフォルダに翻訳済みの画像が出てくる

※初回実行時にモデルが自動ダウンロードされます
少し時間がかかるのでご注意ください

カスタマイズで品質アップ

manga-image-translatorの真価は
細かいパラメータ調整にあります

デフォルトでも動作しますが
理想の仕上がりには調整が欠かせません。

manga-image-translatorって何?

私が実際に使っている設定ファイル

日本語マンガから英語翻訳に最適化した設定ファイルです
ご自身の作品に合わせて微調整してください。

config.jsonをダウンロード
※元のマンガが太めのフォント多いことを想定した設定です。通常のマンガでは調整が必要な場合があります

ダウンロードした設定ファイルをプロジェクトのルートに配置し、以下のコマンドで実行します。

# configとfont-pathを追加して実行
python -m manga_translator local  --input "input"  --dest "output" --config "config.json" --font-path "fonts/comic shanns 2.ttf"

パラメータ詳細

変更したパラメータを中心に
主要な項目を説明していきます

テキスト検出設定(Detector)

{
  "detector": "default",
  "detection_size": 2048,
  "text_threshold": 0.3,
  "det_rotate": true,
  "det_auto_rotate": true,
  "box_threshold": 0.5,
  "unclip_ratio": 1.5
}

detection_size: 2048

検出時の画像サイズ。2048×2048の意味

大きな値ほど小さな文字も検出可能ですが
メモリ使用量が増加
入力画像よりやや大きめであればOKです

text_threshold: 0.3

★重要パラメータ★
テキスト領域判定の閾値
低い値ほど多くのテキストを検出
デフォルトは0.5です
ふきだしがない文字(描き文字やデザインとしての文字。表札など)の検出もバッチリやりたい場合は低めだとうまく出ます。

det_rotate: true & det_auto_rotate: true

縦書きテキストの検出精度向上
日本語マンガでは必須

box_threshold: 0.5

バウンディングボックスの信頼度閾値
低めに設定して検出漏れを防止
デフォルト:0.75。
翻訳が動いていない文字があると、値を落とすと動きます

unclip_ratio: 1.5

★重要パラメータ★
テキスト領域の拡大率
ふきだしの余白を適切に確保
デフォルト:2.3
文字がふきだしからはみ出る場合は、値を落とします

文字認識設定(OCR)

{
  "ocr": "48px",
  "use_mocr_merge": false,
  "min_text_length": 0,
  "ignore_bubble": 0
}

ocr: 48px

  • 日本語マンガなら:48pxmocr
  • 48pxは縦書き・手書き風フォントに強い
  • mocrは「Manga OCR」という高精度モデル

use_mocr_merge: false

ふきだし同士が結合している等
近接するテキストボックスの統合を無効。

min_text_length: 0

最小文字長制限。1文字のテキストも翻訳対象。ノイズが多い場合は2などに設定。

  • 2に設定すると、1文字だけのテキストを無視
  • 「!」とか「?」だけの吹き出しを翻訳しなくなる

ignore_bubblee: 0(吹き出し以外を無視)

ふきだし外テキストの無視閾値
効果音などをスキップしたい場合は5〜10に設定

描画設定(Render)

{
  "renderer": "manga2eng",
  "font_size_offset": -1,
  "font_size_minimum": 1,
  "disable_font_border": false
}

renderer: manga2eng

英語テキストの描画に最適化
長い英文でも適切に改行し、吹き出し内に収めます

font_size_offset: -1

フォントサイズの調整。
指定した分だけサイズを小さくする
テキストがはみ出る場合はさらに小さく(-2など)
小さすぎる場合はプラス値に
※既存のフォントは12,18,24など6px間隔です。私は-1設定ですが、本当は6の倍数がよいです

font_size_minimum: 1

最小フォントサイズ
これ以下にはなりません

disable_font_border: false

文字の縁取りを有効化
背景と文字のコントラストを確保し、可読性向上

テキスト除去設定(Inpainter)

{
  "inpainter": "lama_large",
  "inpainting_size": 2048,
  "inpainting_precision": "bf16"
}

inpainter: lama_large

高精度なテキスト除去モデル
元のテキストを綺麗に消去し、背景を自然に修復

inpainting_size: 2048

除去処理時の画像サイズ
高解像度画像では4096などに上げると、文字の残骸が残りにくい。

inpainting_precision: bf16

演算精度
メモリ効率と精度のバランスが良い

translator(翻訳エンジン)

{
  "translator": "sugoi",
  "target_lang": "ENG",
  "enable_post_translation_check": false
}

translator: sugoi

日本語マンガから英語翻訳に最も適した選択肢。
日本語の口語表現やマンガ特有の言い回しを自然な英語に変換します。
完全オフライン動作可能で、APIキー不要です。

各種AIエンジンも選べます

  • chatgpt
  • gemini
  • deepseek
  • deepl

が、英語翻訳すると文字数が
どうしても長くなってしまうので
個人的にはsugoiでよいかと思います

enable_post_translation_check: false

翻訳後の品質チェックを無効化。
処理速度向上のためオフにしていますが
品質重視の場合はtrueに変更

target_lang: ENG

出力言語を英語に設定。
他の言語も指定可能です。

CHS: Simplified Chinese
CHT: Traditional Chinese
CSY: Czech
NLD: Dutch
ENG: English
FRA: French
DEU: German
HUN: Hungarian
ITA: Italian
JPN: Japanese
KOR: Korean
POL: Polish
PTB: Portuguese (Brazilian)
ROM: Romanian
RUS: Russian
ESP: Spanish
TRK: Turkish
UKR: Ukrainian
VIN: Vietnamese
ARA: Arabic
SRP: Serbian
HRV: Croatian
THA: Thai
IND: Indonesian
FIL: Filipino (Tagalog)

その他設定

{
  "kernel_size": 3,
  "mask_dilation_offset": 20
}

kernel_size: 3

テキスト除去時のカーネルサイズ
文字の残骸が残る場合は5などに大きく

mask_dilation_offset: 20

テキストマスクの拡張量
テキスト周辺の除去範囲を調整

フォントの指定

実行時のパラメータでフォントを指定できます
fontフォルダに入っています

--font-path "fonts/anime_ace.ttf"
  • anime_ace_3.ttf:海外で一般的なマンガフォント
  • comic shanns 2.ttf:読みやすさ重視。私はこちらです

状況別の調整ポイント

文字が小さくて検出されない

  • detection_sizeを大きく(3072や4096に)
  • text_thresholdを下げる(0.3くらいに)

変な場所まで検出される

  • box_thresholdを上げる(0.8や0.9に)
  • ignore_bubbleを上げる(10くらいに)

翻訳が吹き出しからはみ出す

  • font_size_offsetをマイナスに(-2や-4)
  • フォントを変える
  • renderermanga2eng

翻訳の精度が低い

  • translatorを変えてみる(sugoiとdeepseekを比較)
  • APIベースの翻訳エンジンを試す
  • 辞書を入れる (詳細は公式をご確認ください…。私はまだ使っていません。)

使ってみて分かったこと

manga-image-translatorって何?

良かった点

  • 大幅な時間短縮:手作業の10分の1くらいの時間
  • カスタマイズの柔軟性:細かい設定を自身の好みに合わせて調整可能
  • 学習効果:パラメータ調整を通じて画像処理の知識が自然と身につく

改善の余地

  • 完璧ではない:特にセリフの長さが吹き出しと合わないときがある
  • 最初の設定が試行錯誤:自分のマンガに合う設定を見つけるまで時間かかる
  • 環境構築:Python使ったことない人には最初のハードルが高い

使いこなせば強力なツール‼️

「海外向けにコンテンツ展開したい」って人には
本当に助かります

トラブルシューティング

エラーが出て動かない

python -m manga_translator config-help

全パラメータの説明が見られます。

処理が遅すぎる

  • GPUを使う設定にする
  • 画像サイズを小さくする
  • detection_sizeinpainting_sizeを下げる

文字がはみ出る場合

  • font_size_offsetをさらに小さく(-6,-12など)
  • text_thresholdを下げる
  • unclip_ratioを下げる
  • box_thresholdを下げる

あなたのマンガを世界に届けよう

manga-image-translatorで
自作マンガの多言語化がぐっと身近に

最初は設定に戸惑うかもしれません
動かしてみることから始めてみましょう
調整を重ねて徐々に使いこなせる

「作ったマンガを
もっと多くの人に楽しんでほしい」

想いを実現する第一歩に
ぜひ試してみては

manga-image-translatorって何?

もっと詳しく知りたい人へ


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